ディスキング(IPR)とは
正常な歯並び・噛み合わせには、上顎と下顎の6前歯歯幅に適正なバランスがとれていることが理想的になります。
(トゥースサイズレイシオ:下図参照)
歯幅がこのバランスから大きく外れている場合、歯横のエナメル質を薄く削り適正なサイズになるよう調整する治療が必要となります。この治療をディスキングと呼びます(他に、IPR(Inter Proximal Reduction)、ストリッピングとも呼ばれます)。
「健康な歯を削る」というと困惑される方もいらっしゃると思いますが、ディスキングで削る幅は非常に小さく歯にダメージはございません。
当院でディスキングを行う際は、精密検査で歯の幅を確認した後、治療計画に沿ってエナメル質の必要量のみを削ります。
軟組織(歯肉)を傷つけないよう細心の注意をはらっておりますので、ご安心ください。
ディスキングの臨床的術式
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1歯間分離でコンタクトポイントの明瞭化を行い軟組織を傷つけないようにする
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2矯正用研削用ストリップ
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3メタルストリップスによる手指研磨
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4完成
ディスキングの効果
- 歯列に空隙を確保する(叢生・前突の改善につながります)
- コンタクトポイントの位置と面積の調整(不良な歯と歯の接触関係は食べ物がつまりやすくなったり、隣接面カリエスにつながります)
- 歯冠乳頭の位置の調整(ブラックトライアングルの改善)
- オーバーバイト・オーバージェットの獲得
- 上下顎の歯のサイズバランスの調整(適切な歯幅のバランスがよいかみ合わせにつながります)
ディスキングのポイント
- 基本的に左右側同じ量を削ります。
- 削除量の計画は、トゥースサイズレイシオ(上下の歯のサイズのバランス分析)や、叢生量(でこぼこをまっすぐするために必要なスペース量)などを考慮した処方に基づいて計画をたてなければなりません。
この処置がおすすめできない方
- 唾液が出にくく少ない方、または唾液分泌抑制作用をもつお薬を服用している方。(カリエスリスクが高いため)
- 若年者(特に若年者の場合、歯を削ることによる知覚過敏的リスクが高い)
- ブラックトライアングルの解消目的の方で、歯周病が進行している方(歯周病により骨の吸収がありますと、それに伴って歯冠乳頭も退縮していくことが予想されるため)